
知覚についての認識と同様、あなたの感情ももてあそぶ本物の幻覚剤。この種の映画は複雑きわまりなく多層構造になっていて複合的な視点がないとだめなのだが、この映画を見て私は無意識のうちにそのとりこになってしまった。ほの暗く戸惑いを覚えるような映画だが、その点は今敏の「パプリカ」に似ている。
ドム・コブのキャラクターは複雑で不安定。わたしたちはすぐに彼の持つ不気味な秘密と彼が実にひねくれた人間であることを知ることとなる。カメオ出演だったとはいえマイケル・ケインの出演はほんとうによかった。エレン・ペイジは賢く勇敢で可能性を秘めた女性を演じ、ここで彼女の女優としての力量を発揮した。そしてその女性がコブとモルのミステリーを明らかにすることになるのである。